フランス語の文章を組み立てる上で、最初にマスターしなければならないのが「主語(私は、あなたは〜)」と、最重要動詞 être の組み合わせです。
英語の「I am」「You are」と同じ構造ですが、フランス語には独自の主語の分類があります。
まずは、すべての土台となる主語人称代名詞から整理していきましょう。
1. 【土台】フランス語の「主語人称代名詞」6つの分類
フランス語では、動詞を使うときに主語を明確に示します。
英語と同様に、
- 話し手(私)
- 相手(あなた)
- それ以外の人や物
という区別があります。
さらに、単数か複数かによっても形が変わります。
まずは全体像を確認しましょう。
| 分類 | 単数 | 日本語訳 | 複数 | 日本語訳 |
|---|---|---|---|---|
| 1人称 | je(j’) | 私は | nous | 私たちは |
| 2人称 | tu | 君は | vous | あなたは/君たちは/あなたたちは |
| 3人称 | il elle on | 彼は/それは 彼女は/それは 私たちは | ils elles | 彼らは/それらは 彼女らは/それらは |
押さえるべきポイント
je
jeの後ろに母音、無音のhから始まる単語が来ると、エリズィオンしてj’になります。
エリズィオンするものの例としてavoir(have:持つ)などがあります。
出てきた際に紹介しますね。
リエゾン、エリズィオン、アンシェヌマンなど色々あってややこしいと思う方もいるかもしれませんが、基本的には区切らず繋げて読むと思っておけば大丈夫です。
tu と vous の使い分け
フランス語では、
「君は」をtu、「あなたは、あなたたちは」をvousと言います。
- tu → 親しい相手1人
- vous → 目上の人、初対面の相手、または複数人
「ん?フランス語には『君は』と『あなたは』があるの??」
はい、そうです。フランス語では君とあなたを区別します。
例えば、
- 家族
- 親しい友人
のように親しい相手には tu を使います。
一方で、
- 先生
- 店員
- 初対面の人
- 取引先
など社会的な距離がある相手には、相手が1人であったとしても vous を使います。
相手が2人以上いる場合は親しい友人であったとしてもvousを使います。

tuは親称、vousは敬称と呼ばれます。
vousは文法の用語上は敬称ですが、実際には「敬意」というより「距離感」を表しています。
3人称 ilやelleの使い分け
英語のheがil、英語のsheがelleです。
ここで疑問に思うかもしれません。
「あれ?英語のitがない?」
そうです。英語のitに対応する単語はありません。
じゃあ「それは」と言いたいときは何を使うかと言うと
ilとelleを使います。
いやどっち使うんだよと思ったそこのあなた。
フランス語の名詞には男性名詞と女性名詞があったことを思い出してください。
これで感づいたかもしれませんが、
男性名詞の場合はil、女性名詞の場合はelleを使います。
なので使い分け自体は別に難しくないのですが、
男性名詞、女性名詞の見分け方覚えていますか?
忘れていれば以下の記事で復習しましょう!
3人称複数形にも
- ils
- elles
があります。
複数形だから複数のsを付けただけと思えば覚えやすいですね。
ちなみにフランス語は語末の子音字を読まないので、読み方は単数のときと変わらずils(イル)、elles(エル)です。
音では区別できません。
こちらも「彼らは」がils、「彼女らは」がellesです。
物の場合でも男性名詞のものを指すときはils、女性名詞のものを指すときはellesです。
もし男女が混ざってるときはどういえばいいでしょう?
答えは、1人でも男性が混じっていればilsです。
男性1人+女性99人
の場合でもilsになります。
全員が女性のときのみellesを使うと覚えておいてください。
on は非常によく使われる
なんで単数の欄に「私たち」が紛れ込んでんだよとツッコミたくなる気持ちはわかりますが、そういうものと思ってください。
onは3人称単数と見なされていて、動詞の活用などもこれに準じます。
ちなみに on は辞書などで、「人は」「誰かは」と説明されることがあります。
しかし実際の会話では、
nous(私たち)
の代わりとして頻繁に使われます。
例えば、
- On est étudiants.
は意味として
- Nous sommes étudiants. (We’re students.)
とほぼ同じです。
フランス語の日常会話では極めて頻出の主語です。
2. 最重要動詞「être」の規則的な活用一覧
主語人称代名詞が理解できたら、次は être です。
êtreとは英語の be動詞 に相当し、
- ~である
- ~です
を表します。
英語ではam, is, areの3種類だけでしたが、悲しきことにフランス語では主語6種類のすべてにおいて形が変わってしまいます。もうここは気合いを入れてすべて覚えるしかありません。呪文のようにジュシュイ、チュエ、のように唱えて覚えてください。
| 主語 | êtreの活用形 | 英語の構造 | 意味 |
|---|---|---|---|
| je | suis | I am | 私は〜です |
| tu | es | You are | 君は〜です |
| il / elle / on | est | He / She / It is | 彼・彼女・それは〜です |
| nous | sommes | We are | 私たちは〜です |
| vous | êtes | You are | あなた(たち)は〜です |
| ils / elles | sont | They are | 彼ら・彼女らは〜です |
例えば、
- Je suis étudiant.
- Tu es étudiant.
- Nous sommes étudiants.
のように、主語が変わると動詞の形も変わります。
変わるのは動詞だけではない?
形が変わるのは動詞だけではありません。
主語の性別、単数か複数かによって、後ろに続く名詞や形容詞の形も連動して変化します。
(性数一致といいます。)
例文を見て確認しましょう。
- Il est étudiant.(彼は学生です。)
- Elle est étudiante.(彼女は学生です。)
- Ils sont étudiants.(彼らは学生です。)
- Elles sont étudiantes.(彼女らは学生です。)
主語が女性のときは語尾にeをつけます。
主語が複数のときは語尾にsをつけます。
主語が女性で複数のときは語尾にesをつけます。

女性名詞はeで終わることを思い出すと覚えやすいはずです。
男性形étudiantは語末の子音字を読まないので発音は「エチュディオン」ですが、
女性形étudianteは母音字eがついているので発音は「エチュディオントゥ」となります。
なお、主語と後ろの名詞や形容詞を性数一致させないといけないのは主にêtre (be動詞) のような動詞だけです。後に出てくるavoir (have) など英語でいう一般動詞にあたるものは主語と後ろの単語を性数一致させません。
êtreは英語と同じく、主語と後ろの単語(補語)にイコールの関係が成り立ちます。
Elle est étudiante.(彼女は学生です。)
という文の場合、彼女=学生となっていますよね?
そのため、「学生」を女性形にする必要があります。
Elle a un crayon.(彼女は鉛筆を持っています。)
のような文の場合、彼女=鉛筆ではないため
「鉛筆」を女性形にはしません。(というか鉛筆を女性形にはできません。)
3. 音の重要ルール:リエゾン(連音)
フランス語では、本来発音しない語末の子音が、次の単語の母音と結びついて発音されることがあります。
これを リエゾン(liaison) と呼びます。
例えば、
vous êtes(ヴーゼットゥ)
では、
vous の語末の s が次の母音と結びつきます。
これだけだと、
「あー、つなげて発音するだけね」
となりがちですが、きちんと理解していないと困ることもあります。
ils sont (They are)
は、当然ながらリエゾンは起こらず「イルソン」と発音します。
しかし、動詞avoir (have) を活用させて
ils ont (They have)
という文ならリエゾンが起こり、「イルゾン」と読みます。
これは単なる発音上の飾りではありません。
ソかゾかの違いですが、たったこれだけでbe動詞なのかhaveなのかという違いが出てきます。
もちろんここを聞き逃したとしてもある程度は文脈で理解できると思いますが、
「どこでリエゾンが起きるか」
を理解していないと、単語の境界そのものを聞き取れなくなります。
そのため、
- 動詞の活用
- 主語
- リエゾン
は別々の知識ではなく、セットとして覚える必要があります。
次のステップへ
êtreの使い方を理解すると、自己紹介や国籍、職業の説明といった基本文が一気に組み立てられるようになります。
👉 次のステップ:【実践】êtreを使って「自己紹介・国籍・職業」を正しく表現する



